因幡はかく語りけり
2010
会社の同僚が一人辞めた。
同じフロアだったし、すれ違い様によくかまってもらってたので慕っていた人だった。
辞める理由は、本人の口から語られることなくその人は去って行った。
辞めた理由は他の人の口から語られた。
帰宅途中、見知らぬ人間から刃物で切り付けられたのだという。
それが癒えずに、静養のため辞めることになった。
違う土地に移る、という話も。
今まで、私は「人を許すことが大事」だと思っていた。
罪を憎んで人を憎まず。報いを受けたなら、許してもいいのではないかと。
でも、今はそう思わない。
同僚は何もしてないのに、何故、職を失わなければならないんだろう。
住み慣れた地を離れなくてはならないのだろう。
犯人は捕まったらしいが、いつか出てくる。
数年は刑に服すのかもしれない。
けど、考えてみたら「それだけ」なんだよね。
「時間」と「職」は奪われるけど、「夜が怖い」「事件現場が怖い」という事はきっとないんだろう。
今はただ、去って行った同僚の幸せを祈るばかりです。
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