因幡はかく語りけり
2009
村上龍著「最後の家族」を読む。
会社倒産の危機にたつ営業マンの父、主婦の母、引きこもりの兄、進路に迷う妹、という構成の家族を描いた物語。
最後は家族という絆は維持したまま、それぞれが家を出て自立の道を目指してゆく。
村上作品にしては、さらりとした話だったが主張は明確。
それは、「救う・救われるという依存関係ではなく、自立することで親しい人が救われる」ということ。
これが心にストンと馴染んだ。
これは家族関係にもいえるが、友人関係にもいえると思う。
思い返してみれば、長く続いている友人達は依存関係ではなく、それぞれの人生を送り、たまに時間を共有して飲んだり遊んだりして、再びそれぞれの生活と向き合っている。
お互い自立して付き合っている。
つまりはそういうことなんだな、と妙に納得した。
そして、この本を読んだ翌日、兄から結婚する報告を受けました。
近いうち、兄は家を出るでしょう。
私も一人暮らしを始めるでしょう。
まぁ、母と父は一緒に居るけど、今度は家族でそれぞれ自立への道が始まるわけです。
そんな折に、ふらっとよった古本屋で手に取ったのがこの作品だった事に不思議な縁を感じずにはいられない。
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